あらけんのブログ『やれない理由探す暇があるなら、どうやったらできるか考えれば良いのに』

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我慢の崩壊による抑えきれない愛情と後悔

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万引き家族』という映画をみた。


貧困をテーマに万引きをしないと生きられない家族への必要悪を描くものかと思って観て来たのだけれど、少し違った。

 

以下、ネタバレ含む

映画最大のテーマは、貧困時の万引きに関する必要悪ではなく、

・家族とは「何」でつながっているのか?

というテーマだった。

 

Q、家族とは「何」でつながっているのか?

恵まれた環境で育った自分は、家族=「血の繋がり」と答えるだろう。
 けれども、映画が進むにつれて、登場する家族には血の繋がりがないという事がわかって来る。

 年金暮らしのおばあちゃんに、その息子夫婦、そして長女と長男。
 一見、何てことのない家族に末っ子が増えて6人が同居する。

 しかし、息子夫婦と思っていたこの2人はおばあちゃんとは一切血縁のない他人だった。
 長女は、おばあちゃんの元夫と後妻の間にできた息子の長女だから、夫婦の子ではないどころか、おばあちゃんとも血はつながっていない。

 長男は、千葉のスーパーで拾われたという設定

 末っ子は、映画開始10分で拾われてきた。

 

 自分が考える家族=血の繋がりだとしたら、この6人には一切血の繋がりがないために家族とは言えない事になる。

 実際に、法的には家族でもなんでもない。
 他人が同居しているだけだ。ざっくり図でまとめると緑の6人が同居する「家族」であり、赤の線で結んだ関係が血縁関係。

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 しかし、おばあちゃんと血縁のある本物の息子夫婦とは関係は途切れているために、法的には家族であっても、実際には連絡は断絶されている。

 おばあちゃんの元夫と後妻の間にできた息子夫婦の家も、嫁と姉妹という幸せそうな家族に見えるが、長女は両親の愛情が全て妹に言っている事に絶望し、海外へ留学している事にして、おばあちゃんと一緒にあの家で6人で住んでいる。


 映画という事でどう観るか、どう捉えるかは人の自由という事で、自分の感想としては、家族とは血縁ではなく、お互いの愛情で繋がった共同体のことだと認識させられた。

 同じ監督の前作(?)「そして父になる」では、赤子の入れ替え事件が発覚し、生みの息子を取るか(血縁)、育ての息子をとるか(愛情)の葛藤が描かれていた。
 もちろん、それがどちらかのかは映画では触れられず、観るものに突きつけるという形だった。

 そして父になる、を観たときには最終的には血縁よりもそれまで過ごした関係性や愛情での繋がりの方が、より強いと感じた。そしてそれは、理論的には選択しづらい方の選択だった。


 万引きの必要悪ではなく、家族の繋がりは何なのか?を突きつけられた、考えさせられる映画だった。

 ちなみに、映画は、血の繋がりよりも愛情で繋がった6人が家族として幸せに暮らしていくというハッピーエンドではない。

 おばあちゃんは死に、長男は施設へ、末っ子は元の家に戻され、長女の元の家に戻った。夫は1人孤独にアパートで暮らし、嫁は服役。

 全員がバラバラになり、長女は自分に愛情を降り注いでくれていたおばあちゃんが、自分の両親から毎月金を受け取っていた事を知る。家族だと思っていた繋がりは、お金で繋がっていただけなのかな。おばあちゃん亡き今、それを確認することはできない。おばあちゃんはなぜ、愛情をそそいで一緒に暮らしていた亜紀の両親から金をせびっていたのだろうか?

 おばあちゃんの死後、引き出しから15万円ものお金が発見された。
 おばあちゃんが、亜紀の両親の家にお金を貰いにいくシーンでは都度3万円が封筒に入っていたことから、15万円は5回分ということになる。

 お金を貯めてどうしようとしていたのか。おそらくは亜紀のためだろう。
 海外に留学していることになっている亜紀に渡して、海外へいく準備金にしようとしていたのかもしれないし、1人暮らしの資金にしたかったのかもしれない。

 それはわからないが、その想いは亜紀には届かず、反対に、おばあちゃんは愛情ではなく金の縁で自分を拾ってくれたのではないかと思われてしまう。


人のエゴ、醜い部分がストレートに描かれており、自分の頭のどこかでは社会的規範、性的規範の低さを下に見ている部分もある。

 

 けれども、最後のシーンで共に暮らした仮初めの「息子」を追いかけるシーンは心にくるものがあった。そこには、社会的規範、性的規範の低さなどの雑音は無く、ただただ、この子のためにもう会わないという「親」としての我慢と決断、そして、その我慢の崩壊による抑えきれない愛情と後悔だった。

 

 

ブログに書き出してみて、少し楽になった。
好きな映画ではなかった、けれども観て良かった。

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