あらけんのブログ『やれない理由探す暇があるなら、どうやったらできるか考えれば良いのに』

MAIZOKINで埋蔵ケータイ掘ったり。ビジネスの話や日常思っていることなど。

ミレタ公開まであと2日、(5)本当にこれでいいのか?

あいりぺの荒木です。

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昨日、引越したままのダンボールがまだ家に積まれているということで、棚を買って荷ほどきをしましたが、

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猫と棚って絵になりますねー。

この子(クロ)が家に初めて来た日は、2010年の7月でした。

グレイとクロと生後3ヶ月姉妹で、我が家にやって来ました。

最初に家に着いてから、怯えながらも家を探索する2匹のにゃんこ。

そんな我が家にやって来た頃の動画とか写真とか見てほっこりしたいなーっと思っている荒木です。ええ、たぶんガラケーAndroidに入っているので「ミレタ」で取り出します。

さて、この記事は5/21(月)11:00公開予定の

ミレタ おもいでの写真が見れるクラウドメモリー

の開発秘話を6日連続で公開する企画の5日目でございます。

いきなりこのブログを見始めた方は、ぜひ(1)からお読みくだされ。

全6回目次
(1)メルカリ羨ましす
(2)藤田さんの天の声
(3)ユーザーデータ集め
(4)ピッチに出てお金を得るのさ
(5)本当にこれでいいのか?
(6)その先がミレタ

前回のあらすじ

写真や動画を取り出した上で携帯を買取るというビジネスモデルも固まって、TechCrunch Tokyo 2017、IVS 2017 fall kanazawaと、スタートアップ業界の大きな2つのピッチ大会へ出場を果たしたあいりぺ。ここからはVCさんから資金を出していただく資金調達活動をやるはずだったが…

 

(5)本当にこれでいいのか?

 アイデアを練り、ビジネスプランにし、様々な人のアドバイスを得てより強いビジネスプランを作る。スタートアップの登竜門ともいうべきTC TokyoとIVSでピッチを行い、写真や動画を取り出した上で買い取るサービスなんだと業界内知名度を上げて行く。

 そんな、スタートアップの教科書に書いてあるような順調な軌道を進んでいるように見えた12月、IVSが終わってからは資金調達に動くことにした。

 もともと付き合いのあるVCさん、TC TokyoやIVSで出会ったVCさん、領域として興味がありこちらからコンタクトをとったVCさん、それに各イベントで審査員をされていらっしゃった個人投資家の方など、合計20人ぐらいと資金調達について打ち合わせをした。

 今回のバリュエーション、調達資金の使い道、今回のステージに参加するVCの座組などを考え、だいたいこんなところでしょうということで、リードをお願いしようとしていた某VCさんの投資委員会へ掛けてもらう。

 結果は、残念ながら投資できないという結果だった。あまり詳しく書くことはできないが、我々のビジネスについてではなく、株主についてお偉いさんからNGが出たとのこと。もちろん、口頭でのトークとして言っているだけで実際には他の理由なのかもしれないが。

 予定通りに調達ができなかったことで、12月末まで、様々な方にお会いして投資検討という形でミーティングをさせて頂いた。事業プランが未熟だとか、市場の見通しが悪いとか、まだやって見て数字が出てからとか、経営陣に不安があるとかならわかる。それは全て私の未熟な自己責任だ。しかしまさか株主構成でNGですか?と。

 とはいえ、資金がないと新サービスをアプリとしてリリースして戦って行くだけの体力はない。むしろ、この3ヶ月間ピッチやブースや資金調達をメインにやっていて、そもそもこのまま資金調達を行わないと会社を存続させるだけでも危うい。

 そんなギリギリの精神状況で時は過ぎ、資金調達のめどが立たないまま年末を迎えることになった。年内最後の打ち合わせは、マンスリーピッチというクローズドな場で投資家30-40名向けのピッチ大会を開催されているCAVさんとの打ち合わせだった。

 

「1月中旬のマンスリーピッチにMAIZOKIN(ミレタの当時の開発ネーム)を出して、そこから資金調達に繋げよう」

 

 それが私たちに残された最後のチャンスだった。1月中旬にピッチに出て、1ヶ月ぐらいで投資検討に合意したとして、そこからさらに2ヶ月先に着金すると…振込があるのは4月末か。それまで開発にGoが出せないのか。


 年末年始休暇として、1人暮らしで実家に帰るわけでもない自分にできた、ゆったりとした時間。自宅で本を読み、ネットでググり、自分がいますべきことが何なのか自分に問いかけた年末年始だった。


 そうして、本やネットに書いてあることではなく、自分自身に正直に問いて見た。

 

 自分の私心とか、会社の私心とかじゃなくて、社会のために、ユーザーのために、市場のために自分は何をしたいのだろうか。ピッチに出て、イケてるVCから調達して、プレスリリースを出して、注目を集めて、サービスを開発して。それをやろうと計画を立てて来た。

 

 ふと昨年を思い返すと、昨年の後半はビジネスモデルやピッチや資金調達などで、実際にユーザーさんに対して何の価値も提供できていない気がした。3ヶ月間ぐらいだろうか。ビジネスモデルの作り込み、ピッチの準備、資金調達のうちあわせなどは全て、利用するユーザーには意味のないもので、その3ヶ月間は本当にその動きでよかったのだろうか。

 

 昨年の後半を振り返ろうと自分のtwitter投稿を振り返って見ていた時に1つの投稿が目に止まった。

 

 自分が感じていた違和感はコレだった。

 昨年後半はピッチで勝つためにビジネスプランを徹底的に練り、そして資金を調達するためにビジネスプランを徹底的に叩く。そんなユーザー不在の行動に対して、自分の中の「何か」が危ないと察知した。これが、自分の中で本当にコレで良いのか?と不安になった原因だったのだ。

 

 自分が対峙すべきは、ピッチコンテストの審査員ではなく、資金を出資してくれるVCさんでもなく、ユーザーさんなのだ。当たり前の事が見えなくなっていた。逆にいうと、それぐらい追い詰められていたのかもしれ無い。

 

 そもそも、なぜ今の会社で今の仕事をしているのか。

 

 快適なスマホ体験を届けるため。最近では中古スマホに関する負を取り除いて、誰もが中古車の様に中古スマホという選択が選べる社会を作るために自分は動いているはずで。

 

 教科書に書いてあるような順調なスタートアップに見えたあいりぺ社は、ユーザーではなくイベントの審査員やVCさんの方ばかりを見ていた。

 

 そして、それは自分の中で一度気がつくと到底許容できるような事ではなかった。ちょっと調子にのって「ピッチだ資金調達だ」と言っているけれども、そうじゃない。

 

 ユーザーと対峙して、最初はボロボロの屋台かもしれないけれど、ユーザーと一緒にサービスを作っていく。名も知らぬ誰かに向けた最低限の仕様を満たした工業製品みたいなサービスではなく、目の前の1人を助けるための心がこもったサービスを作りたい。


 目の前の困っている人に向けて「あなたのことを大切に思っています」という思いを込めて、サービスを作っていきたい。

 

 これが、年末年始の休みを通じてまとまった自分の脳内だった。

 

年が明けて

やりたいことが決まったら、あとはどうやってそれを実現するかだけであり、やはりそこはオジサンスタートアップならではの強みでもある。

 

「VCからの調達は止めよう。急ぎで着金までサクッと終わらせて、ユーザーの方を向こう。ユーサーに向けてサービス開発をしよう。」

 

これを決めたのが1/3の夜のこと。

そして、2018年1月4日、新年初出社をして友人4名にFBmsgを送った。

 

荒木「あいりぺの新規事業「MAIZOKIN(現在のミレタのこと)」にかかる費用として1000万円×3人=3000万円の増資を募集することにしたんすけど、興味あれば、詳細送るので検討してくだされ。」

Aさん「出します!」


Bさん「今Youtube見ました。良いですね。私で良ければぜひ出資させてください。」

 

Cさん「荒木さん、今回のお話ですが、結論から申しますと見送ろうと思います。」


Dさん「出資します!よろしく」

出社して16時間で3000万円の資金を手にした。

社内にも資金の目処がたったから、開発に集中しようと報告。

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最近は金余り現象が起きていて、お金を持っている人よりも、そのお金を事業に投下できる人の方が貴重だという事を再認識した。
 

その後、出場を決めていたマンスリーピッチに出場し、残念ながら今回のステージは資金が集まったのでクローズするが、1年後、次回のステージで資金入れてくださーいとピッチして、合計7社のVCさんが「ぜひ投資したい」「投資検討したい」という反応をくれた。

 

1社、どうしても今回の調達ステージで滑り込みで検討したいという事で、ありがたく申し出を受けさせていただくことに。何度かの調整を経て、正式に参加いただくことになった。

 

これで4000万円。ウェブサービスの開発資金としては十分だ。

契約等の処理をサクッとこなし、会社の口座に資金が入金された。

 

「ここからは公開までステルスでやろう。外野の声に惑わされず、スタートアップ業界の即時買取などにも惑わされず。審査員でもVCでもなく、ユーザーの方だけを向いて開発をしよう。」

 

 ステルス開発で進めることにしたため、資金調達も含めてサービス公開まではプレスリリースを禁止し、情報をなるべく外に出さないようにして開発を進めて行った。

 

 ピッチに勝つために鍛えたビジネスモデル、資金調達するために鍛えたビジネスモデルを、もう一度ユーザー目線で作り変える作業から開始したが、それは想像以上に辛く険しい道の始まりだった。

 

最終話(6)に続く

全6回目次
(1)メルカリ羨ましす
(2)藤田さんの天の声
(3)ユーザーデータ集め
(4)ピッチに出てお金を得るのさ
(5)本当にこれでいいのか?
(6)その先がミレタ